意思決定ユニット(Decision-Making Unit、DMU)とは、BtoBの購買において、案件を成立させるために同意が必要な顧客社内の部門や役割のことです。ユニットごとに評価基準も進み具合も異なり、すべてのユニットが同意して初めて案件は前に進みます。
この考え方は、組織購買に関する研究から生まれました。企業の購買決定は一人で下されることはまれで、利用者、影響者、ゲートキーパー、購買担当、最終承認者といった複数の役割が関わって決まります。営業の実務では「部門」単位で分けるのが一般的で、利用部門、情報システム部門、経理、購買部門などがそれぞれ一つのユニットになります。
混同されやすい概念
意思決定ユニットは、バイイングコミッティと同じではありません。バイイングコミッティは、その購買に関わる「人の集まり」を指します。意思決定ユニットは、その人たちを役割ごとに分け、ユニットごとの状況を追えるようにする考え方です。前者は「誰が関わっているか」に、後者は「それぞれが今どこまで進んでいるか」に答えます。
**意思決定ユニットは、組織図とも違います。**組織図は会社のすべての部門を示しますが、意思決定ユニットに含まれるのは「この購買」に影響する部門だけです。同じ顧客でも、製品が変わればユニットの顔ぶれがまったく変わることもあります。
**意思決定ユニットは「決裁者」一人ではありません。**決裁する人は、複数あるユニットの一つにすぎません。たとえば情報システム部門がまだ仕様書を待っているなど、どこか一つのユニットが同意していない間は、決裁者も先に承認しないのが普通です。
具体例
ある地域中核病院が、新しい輸液ポンプの導入を検討しています。この案件を意思決定ユニットに分解すると、次のようになります。
| 意思決定ユニット | 現在の状況 | 未解決の条件 |
|---|---|---|
| 看護部 | 同意済み | — |
| 診療科部長 | 前向き | 正式な購入申請はまだ |
| 情報システム部門 | 審査中 | インターフェース仕様書が必要 |
| 経理 | 未接触 | 予算の有無が不明 |
| 購買(用度)部門 | 未接触 | 入札の要否が不明 |
こうして分けると、5つのユニットのうち同意済みは1つだけであり、次はまず情報システム部門の仕様書に対応し、そのうえで経理と購買部門に働きかけるべきだと一目でわかります。
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