予定どおりにフォローはしている。1〜2週間おきにメールを送るか、電話をかける。返ってくる答えはいつも丁寧です。「社内で検討中です」「今期が終わったらご連絡します」「お気遣いありがとうございます」。何も問題は起きていないのに、何も進んでいない。
この段階で目にする営業フォローのアドバイスの多くは、頻度と言い回しに焦点を当てています。何回連絡するか、何日空けるか、件名をどう書くか。こうした細部にも多少の影響はあります。ただ、問題はフォローの回数ではないのでは、と感じているなら、その感覚はおそらく正しいはずです。
**フォローの頻度は、最も重要度の低い変数です。案件を動かすのは、そのフォローが「何のためか」です。**この記事では、「リズムで決めるフォロー」と「条件で決めるフォロー」の違いを説明し、連絡の前に毎回使える一つの確認方法を示したうえで、各フォローを前回のやり取りの上に積み上げる方法を解説します。
フォローの頻度が、思っているほど重要でない理由
頻度が答えるのは一つの問いだけです。「顧客に忘れられないか」。複雑なBtoB案件では、それが本当のリスクになることはまずありません。窓口担当者はあなたのことを覚えています。足りないのは、動く理由か、動ける権限です。
丁寧な「検討中です」が、たいてい何を意味しているかを考えてみてください。担当者はすでに提案書を別の誰かに回したか、自分では決められない判断を待っているか、まだ口にしていない疑問を抱えているかのどれかです。同じ間隔でもう一度連絡しても、どれ一つ変わりません。あなたがまだそこにいることを、もう一度確かめるだけです。
連絡を増やすと、かえって逆効果になることさえあります。「その後いかがでしょうか」という連絡は、そのたびに「この連絡には何もしなくていい」と顧客に伝えてしまいます。やがてそれは一行で済ませられる連絡になり、そのうち返信すらされなくなります。
連絡をやめるべきだと言っているのではありません。存在を示し続けることは大切で、長期案件ではなおさらです。言いたいのは、存在を示すだけでは案件は進まないということです。案件を進めるのは、連絡の中身です。
リズムで決めるフォローと、条件で決めるフォロー
顧客にいつ、なぜ連絡するかを決める方法は二つあります。多くの営業担当者は一つ目を標準にし、二つ目はときどき直感で使っていますが、その違いを言葉にすることはあまりありません。
| リズムで決めるフォロー | 条件で決めるフォロー | |
|---|---|---|
| きっかけ | 前回の連絡からの経過日数 | 案件の中で解決していない条件 |
| よくある文面 | 「お見積もりの件、その後いかがでしょうか」 | 「前回、情報システム部門の審査前に連携仕様が必要とのお話がありましたので、お送りします。送付先は鈴木様でよろしいでしょうか」 |
| 連絡する相手 | いつもやり取りしている人 | 未解決の条件を握っている人、またはその人につないでくれる社内の推進者 |
| 顧客に求めるもの | 近況 | 具体的な判断、回答、または紹介 |
| 成功の定義 | 返信があること | 条件が解決すること、または解決しない理由がわかること |
| 向いている場面 | 存在感の維持、初期段階、案件数の多い営業 | 期間が長く、関係者が多く、具体的なボトルネックがある案件 |
リズムそのものが悪いわけではありません。案件の放置を防ぐ便利なセーフティネットであり、案件数の多い営業なら、必要なもののほとんどがそれで足りることもあります。問題は、リズムに「タイミング」だけでなく「中身」まで決めさせてしまうことです。
条件で決めるフォローでも、規則的なリズムを保つことはできます。違いは、一回一回の連絡が、カレンダーではなく案件に必要な何かを軸にしていることです。
フォローの前に毎回確かめること:解決する条件を言えるか
フォローの前に、次の一文を完成させてください。この連絡は、___を解決するためのものだ。 空欄に具体的な未解決の条件を入れられるなら、そのフォローは前進です。入れられないなら、それはただの活動量です。
フォローする価値のある条件には、次のようなものがあります。
- 根拠資料の依頼が残っている:導入事例、仕様書、セキュリティ資料、トライアル結果などを求められている。
- 確認できていない人がいる:誰が予算を承認し、誰が契約書に署名し、誰が技術審査を担当するのかがまだわからない。
- 判断の時期がはっきりしない:次の会議体、予算編成、審査がいつなのかわからない。
- 果たされていない約束がある:自分が約束したことか、顧客がやると言ったこと。
- 確認すべき変化がある:新しい関係者、組織変更、耳にした優先順位の変化。
空欄が埋まらないとき
条件を一つも挙げられないのは、案件が何を待っているのかそもそもわかっていないからかもしれません。それ自体が条件です。その場合、フォローの目的は一つしかありません。それを確かめることです。次のステップに進む前に社内で何が必要で、誰が関わるのかを、社内の推進者に率直に聞いてみてください。
この質問は「その後いかがでしょうか」よりずっと切り出しにくいものですが、はるかに役に立ちます。単なるリマインドを、診断に変えてくれるからです。
前回のやり取りの上に、次のフォローを積み上げる
案件を前に進めるフォローは、ほぼ例外なく、前回のやり取りの具体的な内容に触れています。その一言が、顧客の状況を理解していることを伝え、こちらのお願いを顧客が動きやすいものにします。
フォローを書く前に、前回のやり取りから次の三つを確認しておきましょう。
- 何が未解決のまま残ったか。 聞かれた質問、示された懸念、双方が合意した次のステップ。
- ほかに誰の名前が出たか。 担当者が触れた同僚、部門、承認者。たとえ話のついでであっても。
- 時期について何と言っていたか。 予算の時期、審査日、社内の締め切り、お盆や年末年始などの長期休暇。
以下は仮想のシナリオです。 デモの後、利用部門の責任者が「現場は気に入っているが、経理は運用コストを必ず聞いてくるはずだ」と話しました。3週間後、リズムで決めるフォローは「その後いかがでしょうか」と尋ねます。前回のやり取りを踏まえたフォローは、運用コストを1枚にまとめた試算を添えて、経理のご担当者に説明の場を設けたほうがよいかを尋ねます。後者は、担当者にそのまま転送できる資料と、名前を添えて返信する理由を渡しています。
それは、何を記録してきたかで決まる
前回のやり取りを正確に覚えていなければ、その続きから話を進めることはできません。関係者が多く期間の長い案件では、こうした細部はすぐに薄れていきます。しかも条件が隠れているのは、たいてい会議の結論ではなく、話のついでに出たひと言のほうです。打ち合わせの直後に書き留めておくことが、次のフォローを可能にします。
どのくらいの頻度でフォローすべきか:率直な答え
どんな案件にも当てはまる間隔はありません。適切な間隔とは、未解決の条件が変わり得るまでに必要な時間です。早すぎれば話すべき新しいことがなく、遅すぎれば案件があなた抜きで進んでしまうかもしれません。
| 状況 | 妥当なタイミング | 理由 |
|---|---|---|
| こちらが何かを渡す約束をしている | 準備でき次第すぐに | こちらの遅れは、顧客のプロセスを遅らせる |
| 顧客が期日までに次のステップを約束した | その期日の少し後 | 期日を決めたのは顧客であり、それに沿って確認するのは礼儀でもある |
| 社内審査や会議体を待っている | 既知の開催日の後 | 開催前には何も変わらない |
| 予算が年度計画に連動している | 予算編成の前。待っている間ではない | 影響力を持てるのは配分が決まる前 |
| 案件が何を待っているのかわからない | いますぐ、確かめるために | 未知の条件を待ち続けるのが、最もコストの高い選択 |
| 明確な条件がなく、案件が明らかに止まっている | ときどき、価値の提供を中心に | 近況は求めずに、存在感を保つ |
フォローのタイミングや返信率についての公開調査はあり、大量の新規開拓には参考になります。しかし長期のBtoB案件では、どんな平均値よりも、顧客社内のスケジュールのほうが確かな手がかりです。そのスケジュールをよく知るほど、決まったルールは必要なくなります。
状況に合わせて、次に読みたい記事
この記事では考え方を整理しました。以下の記事では、それを具体的な場面に落とし込んでいます。
| いまの状況 | 次に読む記事 |
|---|---|
| 条件で決めるフォローを、繰り返し回せる仕組みにしたい | BtoB営業のフォローアップの仕組みをつくる方法 |
| 顧客からの返信が完全に途絶えた | 顧客が急に沈黙したとき:動かない案件をどう読み解くか |
| 次に何をすべきかがどう決まるのかを知りたい | ネクストベストアクションとは:営業の「次の一手」はどう決まるのか |
すべてのフォローに必要な文脈を残しておく
条件で決めるフォローを支えるのは、一つの資源です。誰が何を言い、何を尋ね、何を約束したかの正確な記録です。多くのCRMは「電話をかけた」という事実は記録しますが、何がまだ未解決で、それが誰に関わるのかをひと目で示してくれるものは多くありません。
VINEQRA は、この記録を中心に設計された iOS アプリです。案件に関わるステークホルダー一人ひとりのやり取りの記録を残すので、フォローの前に、前回の内容、まだ未解決のこと、次の連絡で扱うべき条件を確認できます。
よくある質問
良い営業フォローの戦略とは何ですか?
一回一回の連絡を、案件の中の具体的な未解決の条件を軸に組み立てることです。答えの出ていない質問、確認できていない意思決定者、果たされていない約束などです。タイミングや言い回しも大事ですが、目的のほうが重要です。
顧客には何回フォローすればよいですか?
どの案件にも当てはまる決まった回数はありません。長期のBtoB案件では、解決すべき条件か、新たに提供できるものがあるときにフォローし、その条件が実際に変わり得るタイミングに合わせるのが基本です。
どのくらい間を空けてフォローすればよいですか?
顧客のプロセスに合わせます。顧客が期日を約束したなら、その期日の少し後に。会議や予算のサイクルを待っているなら、その後に。こちらが何かを渡す約束をしているなら、準備でき次第すぐに送ります。
フォローの連絡には何を含めるべきですか?
前回のやり取りへの言及、その連絡で扱う具体的な事項、そして明確で負担の少ないお願い(判断、回答、または紹介)です。お願いが「その後いかがでしょうか」だけになっている連絡は避けましょう。
フォローしすぎるのは良くないですか?
その可能性はあります。何も提供せず、本当の未解決事項にも触れず、近況だけを尋ねる連絡を重ねると逆効果です。何かを解決する連絡なら頻繁でも歓迎されることが多く、中身のない定期的な連絡は無視されやすくなります。