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ネクストベストアクションとは:営業の「次の一手」はどう決まるのか

ネクストベストアクションはリマインダーではなく、判断です。ルールベース、スコアリング、文脈に基づく推論という3つのアプローチの違いと、営業への提案が本当に実行に値するかを見極める方法を解説します。

営業におけるネクストベストアクションとは、ある案件に関わる人、これまでのやり取り、まだ解決していない条件といった、わかっている情報をもとに選ぶ、その案件をいま最も前に進めやすい一手のことです。

この言葉は営業支援ツールの宣伝でよく目にしますが、「ネクストベストアクション」をうたう機能の多くは、タスクのリマインダーとほとんど変わりません。ですから、「木曜日に誰それに電話するようシステムに言われた」という以上の意味が本当にあるのか、と疑問に思うのも当然です。

意味はあります。ただし、条件が一つあります。ネクストベストアクションは「スケジュール」ではなく「判断」だということです。そしてその質は、判断のもとになる文脈の質で決まります。この記事では、その意味するところ、3つの主なアプローチの違いとそれぞれが本当に役立つ場面、そして提案に従って動く前にそれをどう見極めるかを解説します。

リマインダーはネクストベストアクションではない

リマインダーが答えるのは「いつ」です。ネクストベストアクションが答えるのは「何を、誰に、なぜ」です。違いは小さく聞こえますが、それぞれが何を知っている必要があるかを比べると、はっきりします。

スケジュール型の出力判断型の出力
例「佐藤さんにフォロー:前回の連絡から7日経過」「設備投資の予算を持つ経理の担当者を佐藤さんに紹介してもらう。その承認がないと購買が先に進めないため」
きっかけ経過日数、フェーズの変化、活動の空白案件の中で解決していない条件
必要な情報日付と活動件数誰が関わっているか、何が話されたか、何が未解決か
教えてくれること何かの期限が来たこと何をすべきか、それで何を達成するのか
うまくいかないとき案件が止まっている理由が、時間では解決しないものであるとき背景となる文脈が欠けているか、間違っているとき

どちらも役に立ちます。50社を担当する営業にリマインダーは欠かせませんし、どれほど優れた提案も、実行を覚えていなければ意味がありません。問題になるのは、リマインダーが判断のように見せられているときだけです。7日間返信がないのは、相手が忙しいからかもしれませんし、予算が凍結されたからかもしれません。リマインダーはこの二つを同じように扱います。ネクストベストアクションはそうであってはなりません。

ネクストベストアクションの3つの世代と、それぞれの得意分野

ネクストベストアクションのアプローチは、大きく3つの世代に分けられます。新しい世代が古い世代に取って代わったわけではありません。それぞれ得意な問いがあり、うまくいかない形もそれぞれ違います。

ルールベースのリマインダー確率スコアリング文脈に基づく推論
答える問い何の期限が来ているか統計的に成果につながりやすい案件や行動はどれかこの案件はいま何を必要としているか
よりどころ人が決めたルール:日付、フェーズ、活動の空白多数の過去案件の結果この案件のステークホルダー、やり取りの記録、未解決の条件
力を発揮する場面案件数が多く、プロセスが定型的似た案件の、量が多くきれいな履歴がある案件数が少なく、期間が長く、案件ごとに構造が異なる
よくある失敗どの沈黙も同じものとして扱う案件が危ない「こと」はわかるが、「理由」はわからない記録された内容以上の質にはならない
根拠の説明できる。ルールが見える一部できる。スコアの解釈は難しいことが多いできるべき。推論が使った文脈を示せる

ルールベースのリマインダー

第1世代は、プロセスをきっかけ(トリガー)に変えます。見積提出後にフォローする、フェーズが30日動かなければ通知する、といったものです。こうしたルールは透明で低コストであり、案件の放置を確実に防ぎます。案件数が多く定型的な営業なら、それだけで課題の大半が解決します。限界は、時間とフェーズのことは知っていても、人のことは知らない点です。

確率スコアリング

第2世代は、過去から学びます。十分な数の過去案件があれば、モデルはどの案件が受注しそうか、どのリードを優先すべきか、顧客がどの提案を受け入れそうかを推定できます。データがそろっている場面では、これは本当に価値があります。似た案件を何千件も持つチームは、そこから確かなシグナルを得られます。限界が見えてくるのは、案件数が少なく一件ごとに構造が違う場合と、スコアが案件のリスクを示しても、その原因となっている人や条件を示せない場合です。

文脈に基づく推論

第3世代は、平均的な案件ではなく、その案件そのものについて推論します。誰が関わっているか、各ステークホルダーが何を話したか、どの承認がまだ下りていないか、前回のやり取りで何が未解決のまま残ったかを見て、その条件に向けた行動を提案します。これは複雑なBtoB営業に合っています。一人の営業担当者が、互いにほとんど共通点のない長期案件を数件抱えている世界だからです。依存しているものもはっきりしています。記録が薄かったり古かったりすれば、推論には頼れる材料がありません。

どれが必要か

多くのチームには、どれか一つではなく複数が役に立ちます。リマインダーは抜け漏れを防ぎ、スコアリングはマネージャーが大きなパイプラインの中で注力先を見極める助けになり、文脈に基づく推論は営業担当者が一つの難しい案件の中で何をすべきかを決める助けになります。この記事では、ここから先は3つ目に焦点を当てます。最もよく宣伝されながら、最も説明されていないのがこのアプローチだからです。

ネクストベストアクションが踏まえるべき文脈

文脈に基づく提案の質は、4つの情報で決まります。どれか一つが欠けると、提案はいつの間にか、言い回しを変えただけのリマインダーに戻ってしまいます。

  1. 人と役割。 誰が社内の推進者で、誰が予算を握り、誰が技術評価を担い、誰が拒否権を持っているか。相手を間違えた行動は、タイミングがどれほど良くても最善の一手ではありません。
  2. やり取りの記録。 各打ち合わせで何が話され、何が約束され、何を聞かれたか。次の一手は通常、「やり取りがあった」という事実ではなく、前回のやり取りの具体的な中身で決まります。
  3. 未解決の条件。 どの承認、どの資料依頼、どの予算の問題が、どの部門でまだ解決していないか。これこそが、その行動で動かそうとしている対象です。
  4. 最近の変化。 前回と何が違うか。新しいステークホルダー、守られなかった期限、トーンの変化。正しい一手は、変化の中に隠れていることがよくあります。

以下は仮想のシナリオです。 2つの案件が、どちらも10日間動いていません。1つ目の案件では、前回の打ち合わせの最後に情報システム部門の責任者がセキュリティ関連の資料を求めましたが、営業はまだ送っていません。2つ目の案件では、社内の推進者が、組織再編のあいだ予算が凍結されていると話していました。リマインダーなら、どちらにも同じフォローを勧めるでしょう。文脈に基づけば、異なる2つの行動が導かれます。情報システムの責任者に資料を送ること。そして、組織再編後にこの予算を誰が持つのかを推進者に確認することです。

どのアルゴリズムよりも記録が大切なのは、このためです。一度も書き留められなかったことを、推論が取り戻すことはできません。

最後に決めるのが営業担当者である理由

ネクストベストアクションは提案であり、決めるのは営業担当者です。これは免責のための言い回しではなく、提案がどうつくられるかから当然に導かれることです。

システムは、記録された内容をもとに推論します。営業担当者は、記録されていないことも知っています。廊下での立ち話のニュアンス、二つの部門のあいだの力関係、もうすぐ異動する担当者のこと。複雑な案件で最も重要な文脈の一部は、どのシステムにも入ってきません。

責任の問題もあります。顧客との関係を担い、一手を誤ったときの結果を引き受けるのは営業担当者です。営業担当者が疑問を持つことも、調整することも、退けることもできない提案は、その人にとっての道具ではなく、ただの指示です。

ですから、役に立つネクストベストアクションは3つのことを満たします。具体的な一手を示すこと、それがどの文脈に基づいているかを見せること、そして、その顧客を一番よく知る人に判断を委ねることです。

ネクストベストアクションの提案を見極める5つの問い

提案がツールから来たものでも、上司から来たものでも、自分の直感から来たものでも、次の5つの問いで、本当の判断なのか、単なる後押しなのかを見分けられます。

問い良い提案弱い提案
具体的か人と行動を特定している「フォローする」「再アプローチする」
解決する条件を示しているか「経理が予算科目を確定できるように」目的が書かれていない
根拠が見えるか打ち合わせ、メモ、ステークホルダーにたどれるスコアや日付だけで、説明がない
最新の変化に合っているか先週起きたことを反映している1か月前でも同じ提案になっていた
顧客に説明できるか顧客自身の意思決定を前に進める主に自分のパイプラインのためのもの

最初の2つに答えられない提案は、リマインダーとして扱いましょう。3つ目に答えられないなら、動く前に自分で推論を確かめましょう。最後の問いの答えが「いいえ」なら、ほかがすべて「はい」でも、おそらくそれは間違った一手です。

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この記事では概念を整理しました。以下の記事では、それを具体的な場面に当てはめています。

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VINEQRA のネクストベストアクションへのアプローチ

VINEQRA は、BtoB の営業担当者一人ひとりのために、文脈に基づく推論のアプローチをとる iOS アプリです。案件ごとのステークホルダー、やり取りの記録、未解決の条件をひとまとめに管理し、プロセスが止まっていると考えられる箇所を示して、そのボトルネックに応じた次のアクションを提案します。提案のもとになった文脈も、あわせて表示されます。営業担当者は、それを採用することも、修正することも、採用しないこともできます。

この推論には Apple のオンデバイス基盤モデルが使われているため、推論に使う案件の文脈は iPhone 上で処理されます。このアーキテクチャの仕組みは、オンデバイスAIで機密性の高い営業データを分析する方法で解説しています。

VINEQRA が次の営業アクションを提案する仕組みを見る · VINEQRAをApp Storeでダウンロード

よくある質問

営業におけるネクストベストアクションとは何ですか?

案件に関わる人、これまでのやり取り、未解決の条件といったわかっている情報をもとに選ぶ、その案件をいま最も前に進めやすい一手のことです。何を、誰に対して行い、それによって何を達成するのかが明確であるべきです。

ネクストベストアクションはタスクのリマインダーと同じですか?

違います。リマインダーは、時間やフェーズをもとに何かの期限が来たことを知らせます。ネクストベストアクションは、案件の状態をもとに、何をすべきか、なぜそうすべきかを示します。リマインダーにも価値はありますが、答えている問いが違います。

AI はどのようにネクストベストアクションを決めているのですか?

アプローチはさまざまです。多数の過去案件の結果を使って案件や行動にスコアをつけるシステムもあれば、ステークホルダー、過去のやり取り、未解決の条件といった個別案件の文脈をもとに推論するシステムもあります。どちらの場合も、結果の信頼性は、もとになるデータの信頼性を超えません。

営業担当者は AI の提案にそのまま従うべきですか?

いいえ。提案は、営業担当者が判断するための材料の一つです。営業担当者は記録されていない文脈を知っており、顧客との関係にも責任を負っています。最終的な判断は、営業担当者が下すべきです。

ネクストベストアクションにはどんなデータが必要ですか?

少なくとも、誰がどんな役割で関わっているか、直近のやり取りで何が話されたか、どの承認や条件がまだ未解決か、最近何が変わったか、の4つです。これらがないと、提案はありきたりな「フォローしましょう」になりがちです。