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スプレッドシートで案件管理は十分か?CRMとの3つの分かれ目

スプレッドシートは優れた記録であっても、優れたモデルではありません。起きたことは残せても、誰がまだ未解決かは示せないからです。表計算ソフトとメモアプリで十分な場面と、限界が来る3つの具体的な分かれ目を解説します。

すべての案件を一つのスプレッドシートで管理している。1行が1顧客で、列は会社名、担当者、フェーズ、金額、次回連絡日、メモ。商談の細かい内容はスマートフォンのメモアプリに残している。何年もこのやり方で回してきて、たいていの場合は問題なく機能している。

だからこそ、誰かにCRMを勧められるたびに疑問が湧きます。本当にそれだけの価値があるのか。データを移し、新しいツールを覚え、習慣を変える。その見返りが何なのか、はっきり説明できる人はいるのか、と。

その疑問はもっともです。このガイドは「スプレッドシートはダメだ」と主張するものではありません。多くの場面で、スプレッドシートは正しい選択だからです。その代わりに、スプレッドシートが限界を迎える具体的な分かれ目を明らかにします。

スプレッドシートは優れた記録ですが、優れたモデルではありません。起きたことは残せても、誰がまだ未解決かは表せない。そして複雑な案件の行方を左右するのは、まさにその「未解決」です。

スプレッドシートが正しい選択になる場面

まずは公平に。あなたの案件が次のような特徴を持っているなら、表計算ソフトとメモアプリでおそらく十分で、乗り換える必要はありません。

  • 1案件の窓口が1〜2人。 決めるのは一人で、その人とのやり取りだけを覚えておけば済む。
  • 商談期間が短い。 初回接触から受注まで数週間で、細部を忘れる前に決着がつく。
  • 案件数が把握できる範囲で、形も似ている。 記憶とメモ欄で全体像がつかめる。
  • 次の一手がほぼ自明。 見積もりの後は交渉、交渉の後は契約。判断の余地はあまりない。

こうした条件では、スプレッドシートには確かな強みがあります。柔軟で、すぐに使い始められ、列を自由に追加でき、費用もほとんどかからず、すでに使い慣れている。複雑なプロセス向けのツールを無理に導入しても、手間が増えるだけです。

スプレッドシートが限界を迎える3つの分かれ目

スプレッドシートの限界は、機能の不足ではありません。構造です。1案件に1行、1セルに1つの値。案件の実際の形がこの構造を超えたとき、問題が始まります。最も具体的な分かれ目は次の3つです。

分かれ目1:1つの案件に複数の意思決定単位がある

ユーザー部門、情報システム部門、経理、購買のそれぞれの承認が必要な案件では、「フェーズ」列が意味を持たなくなります。案件は一つのフェーズにあるのではなく、部門ごとにそれぞれ別の段階にあるからです。ユーザー部門は合意済み、情報システム部門は検討中、経理にはまだ接触していない、というように。

スプレッドシートが持てるフェーズは一つだけです。列を増やすことはできますが、案件ごとに関わる部門が違うため、列はいつまでも足りないか、大半が空欄のままになります。結局、肝心な情報はメモ欄に押し込まれる。そしてメモ欄の文章からは、どの部門で止まっているのかを一目で読み取ることができません。

分かれ目2:やり取りを人やテーマで探す必要がある

スプレッドシートは日付で並べ替えることはできます。しかし実際に探したいのは、たいてい別のものです。「経理の課長は前回、価格について何と言っていたか」「セキュリティの懸念を出したのは誰だったか」「資料を送ると約束したのは誰に対してだったか」。

こうした問いに答えるには、やり取りを人やテーマで検索できる必要があります。ところが表計算ソフトとメモアプリの組み合わせでは、履歴はメモ欄、メモアプリ、メール、チャットに散らばり、一人の発言をすべてつなげる場所がありません。商談が長く、関わる人が多いほど、探すのは難しくなります。

分かれ目3:次に何をすべきか判断が必要になる

スプレッドシートは次回連絡日を教えてくれます。しかし、次に誰に、何を持って働きかけるべきかは教えてくれません。シンプルな案件なら、その判断は頭の中で済みます。けれども、5つの部門、3つの未解決条件、最近異動した窓口が2人いる案件では、その判断はもはや片手間でできるものではありません。

どの条件が最も重要か、どの部門が案件を止める可能性が最も高いか。スプレッドシートはそれを示しません。その判断はすべてあなたに委ねられ、その質は、その時たまたま覚えていたことの質を超えられません。

同じ案件を、2つの形で見る

実際の違いを見てみましょう。以下は仮想のシナリオです。 ある中規模病院が、スマート輸液ポンプの導入を5か月間検討しています。

スプレッドシートでは、この案件は1行です:

顧客担当者フェーズ金額次回連絡メモ
地域中核病院鈴木看護師長検討中1,200万円来週水曜看護部の試用はOK、情報システム部門は審査が必要とのこと、経理は未接触。鈴木さんいわく診療科部長は前向き。購買は入札が必要かも?

この1行には多くの情報が入っています。しかし、承認が必要な部門がいくつあるのか、今どこがボトルネックなのか、来週水曜に誰と何を話すべきなのかは、ここからは読み取りにくい。

意思決定単位ごとに整理すると、同じ案件はこう見えます:

意思決定単位状態未解決の条件直近のやり取り
看護部(鈴木看護師長)承認済み—試用の評価は良好、社内の推進者として動く意向あり
診療科部長前向き正式な購入申請はまだ鈴木さん経由の情報、本人には未確認
情報システム部門審査中連携仕様書が必要仕様書を求められたが未送付
経理未接触予算の有無が不明—
購買未接触入札の要否が不明—

情報は同じです。しかし表し方がまったく違います。2つ目の表からは、5つの部門のうち承認済みは1つだけであること、情報システム部門はまだ送っていない仕様書を待っていること、経理と購買にはまったく手がついていないことが一目でわかります。来週水曜に何をすべきかは、自然と見えてきます。

乗り換えの手間を正直に見積もる

乗り換えには確かに手間がかかります。データの移行、画面の習得、記録の仕方の変更。ですから、CRMのほうがプロらしく聞こえるという理由で乗り換えるべきではありません。まず次の3つの問いに答えてみてください。

  1. 3つの分かれ目に当たる案件は、全体のどのくらいか。 大型案件の一部だけなら、その案件だけを新しいツールに移し、残りはスプレッドシートのままでかまいません。
  2. 最後に「覚えていなかったせいで」機会を逃したのはいつか。 何も思い浮かばないなら、スプレッドシートで本当にまだ十分なのかもしれません。
  3. 会社として指定のシステムがあるか。 あるなら、個人として選べる範囲は変わります。

リスクの低い確かめ方があります。手元で最も複雑な案件、つまり関わる部門が最も多い案件を一つ選び、1か月間、新しい方法で記録してみることです。次の一手の決め方が変わるかどうかを見てください。変わらなければ、スプレッドシートを使い続ければいい。変わったなら、乗り換えの価値がはっきりわかります。

どのツールを使うか検討しているなら、BtoB営業担当者個人に最適なCRMの選び方で評価基準を一通り確認できます。会社のCRMと案件インテリジェンスの違いについては、CRMと営業案件インテリジェンスの違いをご覧ください。

複雑な案件を、メモ欄から解放する

VINEQRA は、部門横断の意思決定を伴う案件を担当するBtoB営業担当者のために設計された iOS アプリです。案件を顧客社内の意思決定単位に分解し、それぞれの状態を個別に管理しながら、関係者ごとのやり取り履歴を残します。ある部門の動きが止まると、VINEQRA は案件が滞っていそうな箇所を示し、阻害要因に応じた次の一手を提案します。提案はあくまで出発点で、判断するのはあなたです。

使っているスプレッドシートをすべて置き換えるためのものではありません。シンプルな案件では、スプレッドシートは今も十分に機能します。案件が3つの分かれ目に当たり始めたとき、VINEQRA はスプレッドシートでは持てない層を補います。

App Store で VINEQRA をダウンロード(App Store での名称:バインクラ)

案件管理の全体的な考え方については、営業案件管理をご覧ください。

スプレッドシートとCRMに関するよくある質問

営業案件をスプレッドシートで管理しても問題ありませんか?

問題ありません。案件の窓口が1〜2人で、商談期間が短く、次の一手がほぼ自明であれば、表計算ソフトとメモアプリは最適なツールであることが多いです。柔軟で、すぐ使い始められ、費用もほとんどかかりません。

スプレッドシートからCRMに移るべきタイミングはいつですか?

案件が3つの分かれ目に当たり始めたときです。1つの案件に複数の意思決定単位がある、やり取りを人やテーマで探す必要がある、次の一手に日付だけでなく判断が必要になる。どれか一つにでも当たれば、スプレッドシートの構造では足りなくなり始めます。

営業でスプレッドシートを使う最大の限界は何ですか?

構造です。1案件に1行、1セルに1つの値。起きたことは記録できても、案件にどの部門が関わり、それぞれがどこまで進み、誰がまだ未解決なのかは示せません。

ツールを乗り換える手間に見合う価値はありますか?

案件の性質によります。最も複雑な案件を1か月間、新しい方法で記録し、次の一手の決め方が変わるかを確かめてみてください。変わらなければスプレッドシートのままで。変わったなら、乗り換えの価値がわかります。

スプレッドシートとCRMを併用してもいいですか?

もちろんです。シンプルな案件はスプレッドシートに残し、長期で複数部門が関わる案件だけを専用ツールに移す営業担当者は少なくありません。目的は全面的な置き換えではなく、案件の種類ごとに合った方法で記録することです。

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